それでもボクはやってない。

2時間越えの映画だけど、まったく無駄の無い次々と展開していくシーン運びにまったく時間を感じさせなかった。眠くさえならなかったよ。登場人物の位置関係や考証がしっかりしているので、フィクションなのかドキュメンタリードラマなのか一瞬わからなくなるようなそんな映画だったかな。もたいまさこが駅でビラをまいてるシーンとかすごかった。。。 法廷表現もすごい。

キャスティングは絶妙で、加瀬亮演じるところの主人公金子青年なんかは、普通のまじめな若者があれよあれよと巻き込まれて拘留されたり、なにも知識の無いまま刑事や当番弁護士、副検事などとのやりとりをさせられて不利になってみたり…と観客と一体となって理不尽さなんかを感じるにはうってつけだったなぁと。


ちょいネタバレになるから行をあけて…











ただこの映画、問題の痴漢のシーンの核心部分は実は全然スクリーンに映ってない。…ということは、本当に冤罪かどうかはわからないわけで、もちろん主人公が最後まで「やってない」というのだからやってない…冤罪…という風に見えるけど、「感情移入」無しに、裁判官と同じ材料だけ見ての判決ならどうだったかな〜なんて思うわけです。裁判官が感情移入しちゃもちろんダメであと2年ほどで裁判員制度も開始されるわけで、その辺でやはり考えるべき事を描いていると思われます。最初の裁判官が良くて、次のがダメ…と(見た目やしゃべり方なんかでもキャラ作りされていて余計そう思えますが)簡単に切り捨てられないわけじゃないしね。

あと、男女での痴漢問題への感じ方の違いや、弁護士の現状(民事はやるけど刑事はやらない、弁護士自体のメンタル部分、検察との行使力の差など等)、司法制度そのものなど、もうそれこそいろんな問題のてんこ盛り。あと、被告人=犯人っていう日本人の意識もこういう感じで生まれたんだなぁ〜と思った。逮捕されても別にまだ罪は確定して無いんだけどね、ホントは。まぁ現状ではほぼイコールですが。この辺ディフォルメはあったと思うけど、その他の考証でいかにもそれっぽくなってるのは映画ならではです。